3つの分野で起きる「勢力図」と「スピード感」
経済
Netflixによる旧体制の崩壊とコンテンツ独占
映画業界では、ライブストリーミング会社が大手映画会社を買収するという力関係の逆転が起きており、大きな地殻変動を引き起こしています。Netflixによる買収提案(例:ワーナーブラザーズへの買収):これは、ネットフリックスのようなライブストリーミング企業が、100年以上の歴史を持つハリウッドのIPライブラリーなどのコンテンツ資産を積極的に獲得しようとしていることを示しています。ビジネスモデルの崩壊:Netflixは劇場公開に消極的であり、本来劇場公開されるはずの作品を配信優先にする戦略をとっています。従来の「劇場公開 ➡その後配信」という映画業界のビジネスモデルが崩壊しつつあります。競争と影響:Disney+、Amazon Prime Video、Paramount+といった他プラットフォームとの激しい競争が続く中、Netflixが独占することで、アルゴリズム・戦略に合わない作品は無視され、制作の自由度が低下します。
テクノロジー
GeminiとGPT
AI分野では、技術の進歩と競争のスピードが極めて速く、短期間で勢力図が大きく塗り替えられています。勢力図:GoogleのGeminiがChatGPTに対する巻き返しを見せています。特に業務で使う画像生成は「NanoBanana」が圧倒的に速い。スピード感:ChatGPTが「1年間であっという間に広がり、数か月でトップがGeminiに入れ替わる」という驚異的なスピード感で進行しています。ハードウェア:GoogleはNVIDIAのGPUを必要としない。GPUの分野でも従来の勢力図に異変が起きています。
クリエイター
もはや不要?
技術の急速な発展により、映像制作のほとんどの工程が自動化可能となり、クリエイター不要論も出ています。制作工程のAI化:ブレスト、資料作成、編集、VFX、ナレーション、撮影機器といった、AIに依存していない制作工程はありません。「AIがあればクリエイターは要らないのではないか?」という問いが生じています。ヒトの役割:現時点では、動画の方向性を決める役割や、どのような動画にするかを決める作業は引き続きヒトが担っています。差別化:AIはヒトの指示を高速で実行するツールであり、制作会社の差別化の鍵は、AIを使いこなす能力に加え、AIに方向性を与える(指示・企画する)工程にある、と考えています。2025年がとてもエキサイティングな年だったのは間違いありません。
2025年12月 増岡 博史